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2010年12月28日 (火)

銀行商品サイト事件(東京地判平成22年12月21日平22(ワ)12322号)その1

 本件は,原告が,被告がその開設するウェブサイト「銀行商品コム」上に掲載している「住宅ローン商品金利情報」のうちの図表(被告図表)は,原告の著作物である「図表」(本件図表)を複製したものであり,被告の上記掲載行為は原告の保有する本件図表の著作権(複製権,公衆送信権)を侵害する旨主張し,被告に対し,著作権法112条1項に基づく差止請求として被告のウェブサイト上の「住宅ローン商品金利情報」が掲載されたウェブページの閉鎖と,著作権侵害の不法行為による損害賠償の一部の支払を求めた事案である。

 次の裁判所サイトで、全文を閲覧できる。
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101222085234.pdf

 本判決は、以下のとおり、本件図表が「図形の著作物」,「編集著作物」又は「データベースの著作物」であることを認めることはできないとして、請求を棄却した。

 第1に、「図形の著作物」としての著作物性について、次のとおり判示して、「本件図表が図形の著作物に当たるものと認めることはでき」ないとした。

「本件図表は,各金融機関が提供する住宅ローン商品の金利情報について,全国又は各地域別の金融機関ごとに,その商品名,変動金利の数値,固定金利(1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の固定期間別)の数値を表示して金利を対比した表及びそれらの金利の低い順に昇降順に並べて対比した表であり,金利情報をこのような項目に分類して対比した図表及び金利の低い順に昇降順に並べて対比した表は,他に多く存在し(《証拠略》),ありふれたものであって,思想又は感情を創作的に表現したものということはできない。」

 第2に、「編集著作物」としての著作物性についても、次のとおり判示して、「本件図表が編集著作物に当たるとの原告の主張は,理由がない」とした。

「本件図表は,各金融機関が提供する住宅ローン商品の金利情報について,全国又は各地域別の金融機関ごとに,その商品名,変動金利の数値,固定金利(1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の固定期間別)の数値を表示して金利を対比した表及びそれらの金利の低い順に昇降順に並べて対比した表であり(前記(2)ア),全国の金融機関の全てを対象に,その提供する全ての住宅ローン商品の金利情報を素材として選択したものであり,そのような選択はありふれたものであるから,素材の選択によって創作性を認めることはできない。」
「本件図表における素材の配列は,別紙B記載のように,左から,「金融機関名(店舗情報へリンク)」,「キャンペーン商品名等(各金融機関の商品ページへリンク)」,「変動金利型年金利(%)」及び「固定金利型固定期間別年金利(%)」(1年,2年,3年,5年,7年,10年,15年,20年,25年,30年,35年の固定期間別)の順に配列したものであり,この種の住宅ローン金利の対比表に多くみられたありふれた配列であり,また,本件図表を構成する図表の中には,各地域ごとの各金融機関の住宅ローン商品を金利の低い順に昇降順に配列したものがあるが,このように金利の低い順に住宅ローン商品を配列することもありふれたものであるから,素材の配列によっても創作性を認めることはできない。」

 長くなるので、次に続く。

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