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2010年12月 1日 (水)

メール送信行為を名誉毀損の「公然」に該当するとした事例

興味深い判例を紹介する。

東京高判平成22年 1月20日公刊物未登載 20(ワ)16947

この判例は、次のように説いて、メール送信行為が名誉毀損の「公然」に該当するとした。

「名誉毀損による不法行為が成立するためには,公然と事実を摘示又は意見ないし論評を表明することにより他人の名誉を毀損することが必要であると解されるところ,事実の摘示又は意見ないし論評の表明が公然とされたといえるためには,不特定若しくは多数の人に対し事実の摘示若しくは意見ないし論評の表明がされたこと,又は,特定かつ少数の人に対し事実の摘示若しくは意見ないし論評の表明がされた場合であって,不特定又は多数の人に対する伝播可能性が認められることを要するものと解するのが相当である。そして,特定かつ少数の人に対し電子メールの送信により名誉毀損文書が送信された場合には,当該文書の性質及び内容並びに送信の相手方等の具体的事情を総合考慮して伝播可能性の有無を判断すべきである。」

いわゆる「伝搬性の理論」(Theory of propagation )である。

「被告Y2による本件各文書の電子メール送信は,特定かつ少数の人に対するものであるが,不特定又は多数の人に対する伝播可能性が認められ,公然とされたものというべきである。」

さて、問題は、本件でメール送信が伝搬性を有すると認定したプロセスである。

この判決は、次のように判示する。

「これを本件についてみると,……関係者であれば,重大な関心を寄せるものであることは明らかであって,……関係者がこのような文書を入手すれば,特段の事情がない限り,……他の関係者に伝わる可能性が十分に認められる……。そして,被告Y2は,このような内容の……本件各文書を,……関係者……に対し,電子メールで送信したものであり,しかも,Eに対しては口止めさえしていなかった……。そうすると,少なくともEから,本件各文書が不特定多数の第三者に伝わる可能性は十分にあったというほかはなく,……現実に,Eは,被告Y2から送信を受けた本件各文書を原告X4及び原告X6に送信し,その後不特定多数の第三者に伝わったことが認められる」。

メールだからといって、伝搬性を考慮すると、「公然」に該当すると言える場合があるとしたことに注意すべきだろう。

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