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2010年12月30日 (木)

裁判所サイト「判例検索システム」の課題

法律関係者なら、ほとんど誰でも知っていることだが、

「裁判所」サイト
http://www.courts.go.jp/
の中に、

「判例検索システム」
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0010?action_id=first&hanreiSrchKbn=01
が設けられており、非常に便利である。

本人に直接確認したわけではないが、私と湯島の司法研修所で同期だった某裁判官が事務総局にいたとき、その発足に尽力したと聞いている。

彼とは、修習生時代、研修所周辺の池之端文化センター、御徒町、渋谷あたりで、安酒を、よく飲んで回ったものだ。

今の修習生はたいへんなようであるが、我々のころは、のどかで、いい時代であった。

話を元に戻す。

こうした判決内容の公開は、単に法情報学的観点にとどまらず、より重大な、憲法が保障する裁判の公開を促進するものとして、大きく評価できる。

しかし、課題が幾つか残されている。

思いつくままに指摘してみたい。

第1に、判例の公開基準が明確でないことである。

もとより、すべての判例が公開されているわけではない。

だが、前述した憲法の趣旨からすれば、より多くの判列が公開されるべきであろう。

第2に、控訴審判決のあり方が、改めて浮き彫りになったことである。

控訴審判決の「原判決62頁16行目から63頁12行目までを以下のとおり改める。」式の書き方は、いつもながらの事とはいえ、どうにかならないか。

原判決が公開されていなければ、何の意味か分からない。

判例時報等の判例誌で公開されていても、頁や行数が明示されているわけではないから、やはりどの箇所か分からない。

原判決が裁判所サイトで公開されていても、そのPDFにおけるページ数等の記載と一致していなければ、徒に誤解を招くだけである。

例えば、裁判所サイトで公開されている判例の中には、当事者の記載が省略されているものもあり、その場合に、実際の判決におけるページ数や行数とズレが生じるのではないか。

その有無等に関する公開方針が公表されているわけでもないから、「大丈夫なのか」という懸念は深まるばかりである。

「原判決の第3、2、(1)の6行目から12行目までを以下のとおり改める。」とするなど、もっと工夫があってもいいのではなかろうか。

第3に、外字等の問題である。

http://www.courts.go.jp/picture/hanrei_help.html

に掲載された「各判例について」にも、「JIS第1・第2水準にない文字の大部分は,できるだけ近い文字に変換していますが,「・」で表示される場合があります。また,外字,数式,化学式等については,正確に表示されないことがあります。」として、注意が呼びかけられている。

どうしても判決のために必要なものは、事務総局からUnicode、JISへの追加を呼びかける一方、どうでもいいものなのに、単に慣例的に使われてきたにすぎないものは、思い切って廃止すべきであろう。

それでも、氏名などについてはUnicode、JISにないものが残らざるを得ない。

とかく漢字の問題は難しい。

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コメント

関係する問題をひとつ。ただし、これは裁判所サイトの課題というわけではない。

知的財産権法の世界では、当事者名や商品名等を用いて事件名とし、それによって個々の事件を特定することが多い。労働法などでも同様である。

それをネットで書くと、検索ロボットがやってきて登録する。

それゆえ、当該当事者名等で人々が検索すると、「裁判沙汰」なので人々の好奇心を刺激するのか、アクセスされることが多く、ときには検索上位に来る。

ということで、変更してほしいと要望されたことがある。

違法なことをしているわけではないので、変更する理由はない。書込内容を「読めば分かる」の世界でもある。

しかし、気持ちはよく分かる。非道い例になると、検索サイトで、風説でしかないものが人々の興味を増幅し、サブカテゴリー化しているケースもあるからだ。

とかくネットは難しい。

投稿: 岡村久道 | 2010年12月30日 (木) 06時28分

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