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2011年1月21日 (金)

参考-ロクラクⅡ控訴審判決(知財高判平成21年1月27日)

「速報-最高裁が「ロクラクⅡ」も原判決を破棄差し戻し(平21(受)788号)」

http://hougakunikki.air-nifty.com/hougakunikki/2011/01/post-bdcf.html

の参考資料として、控訴審である知財高裁判決を掲載しておく。

但し、長い判決なので、「当裁判所の判断」部分だけを抜き出している。

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第3 当裁判所の判断

 1 争点1(本件サービスにおいて,控訴人は,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているか)について

 (1) 事実関係

 本件サービスに関する事実関係(本件サービスの開始後における親機ロクラクの設置状況を除く。)は,次のとおり加除訂正するほかは,原判決48頁21行目から60頁末行までに説示のとおりであるから,これを,ここに引用する。

 ア 原判決48頁21行目の「証拠」を「掲記の証拠」と改める。

 イ 原判決52頁1行目の「接続作業」を「設定作業等」と,3行目の「親機ロクラクを接続して」を「親機ロクラクによる」と,18行目の「子機ロクラクを接続して」を「子機ロクラクによる」とそれぞれ改める。

 ウ 原判決55頁3行目の「,弁論の全趣旨」を削り,4行目の「本件モニタ事業から,本件サービスに移行する間の」を「本件モニタ事業期間中の」と改め,19行目の「2の14」の次に「。以下「本件レンタル規約」という。」を加える。

 エ 原判決56頁19行目の「斡旋が行われている」を「斡旋をする旨の記載がある」と改め,21行目の「画面上」の次に「(甲10)」を加え,22行目の「標章」から23行目末尾までを「標章を用いるなどしていた(甲1)。」と,25行目の「以下のとおり規定されている」を「以下のとおりの規定がある」とそれぞれ改める。

 オ 原判決59頁26行目の次に行を改めて次のとおり加える。
「a控訴人は,本件サービスの利用申込みをすることができる者を「非営利目的で個人利用の範疇で利用されるお客様」に限定し,「営利目的の団体,法人及び個人」は本件サービスを利用することができないこととしている(甲2の12,2の14,24の9)。」

 カ 原判決60頁1行目の「本件サービス」を「b本件サービス」と,6行目の「入力する」を「選択する」と,19行目から20行目にかけての「番組表情報閲覧請求」を「番組表情報閲覧要求」と,同行目の「同請求」を「同要求」とそれぞれ改め,22行目の次に行を改めて「なお,控訴人は,先行仮処分決定の後,暫定的な措置として,同決定において複製禁止対象とされたテレビ番組を除外した控訴人作成の番組表を子機ロクラクが取得するとの新技術を開発し,本件サービスにおいて運用している(甲24の1)。」を,26行目の次に行を改めて次のとおりそれぞれ加える。
「オ 親子ロクラクのセットの販売
少なくとも平成19年10月ころまでの控訴人サイト(甲2の1~2の35,3の1~3の28,4の1~4の28,24の1~24の25)には,親子ロクラクのセットを,業務用としてではなく一般利用者向けに販売する旨の記載は全くなく,また,現在の控訴人サイト(甲60の1~60の4,乙36の1~36の3。いずれも原判決の言渡後に提出されたものである。)には,親子ロクラクのセットを販売する旨の記載(甲60の3,60の4,乙36の2,36の3)が設けられているが,その内容は,顧客に親子ロクラクのセット購入を勧める文言が一切ないし,その販売価格は39万8000円とされている。」

 (2) 本件サービスの開始後における親機ロクラクの設置状況について本件サービスの開始後における親機ロクラクの設置状況については,前記第2の3(1)のとおり,当事者双方に争いのあるところであるが,仮に,被控訴人らが主張するとおり,親機ロクラクが控訴人の管理・支配する場所に設置されているとしても,次項において認定判断するとおり,本件サービスにおいて控訴人が本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製(以下「本件複製」という。)を行っているものと認めることはできないから,以下,当該設置状況については,利用者が親機ロクラクを自己の管理・支配する日本国内の場所(留守宅等)に設置することを選択した場合(以下「利用者が親機ロクラクを自己管理する場合」という。)を除き,すべて控訴人の管理・支配する場所に設置されているものと仮定して検討することとする。

 (3) 検討

 被控訴人らは,①本件サービスの目的,②機器の設置・管理,③親機ロクラクと子機ロクラクとの間の通信の管理,④複製可能なテレビ放送及びテレビ番組の範囲,⑤複製のための環境整備,⑥控訴人が得ている経済的利益を総合すれば,控訴人が本件複製を行っていることは明らかである旨主張するので,以下,上記(1)及び(2)の事実関係等を前提に,本件サービスにおいて控訴人が本件複製を行っているものと認めることができるか否かについて,被控訴人らの上記主張に即して検討する。

 ア 本件サービスの目的について

 被控訴人らは,本件サービスの目的は,海外に居住する利用者を対象に日本国内で放送されるテレビ番組をその複製物により視聴させることのみにある旨主張する。
 確かに,上記(1)によれば,本件サービスが,主として,海外に居住する者を対象として,日本国内で放送されるテレビ番組を受信・複製・送信して,海外での視聴を可能にするためのもの(日本国内で作成された複製情報を海外に移動させるもの)であることは明らかというべきである。
 しかしながら,海外にいる利用者が親機ロクラクを自己管理する場合(この場合に,控訴人が本件複製を行っていないことは明らかである。)であっても,その目的は,日本国内で利用者自身が管理する親機ロクラクで国内で放送されたテレビ番組を受信・複製・送信し,これを海外で視聴可能にすることにあるのであるから,上記認定の本件サービスの目的と何ら変わりはないのである。もっとも,控訴人が親機ロクラクを管理する場合においては,他人である海外の利用者をしてテレビ番組の視聴を可能ならしめることを目的とする点で,当該利用者自身がテレビ番組の自己視聴を目的として親機ロクラクを自己管理する場合と異なるが,本件複製の決定及び実施過程への関与の態様・度合い等の複製主体の帰属を決定する上でより重要な考慮要素の検討を抜きにして上記の点のみをもって控訴人が本件複製を行っているものと認めるべき根拠足り得る事情とみることはできない。

 イ 機器の設置・管理について

 被控訴人らは,本件サービスにおいては,控訴人が,親機ロクラクとテレビアンテナ等の付属機器類とから成るシステムを一体として設置・管理している旨主張する。
 しかしながら,被控訴人らが主張する上記事実は,控訴人が本件複製を行っているものと認めるべき事情たり得ない。その理由は,次のとおりである。
 すなわち,本件サービスの利用者は,親機ロクラクの貸与を受けるなどすることにより,海外を含む遠隔地において,日本国内で放送されるテレビ番組の複製情報を視聴することができるところ,そのためには,親機ロクラクが,地上波アナログ放送を正しく受信し,デジタル録画機能やインターネット機能を正しく発揮することが必要不可欠の技術的前提条件となるが,この技術的前提条件の具備を必要とする点は,親機ロクラクを利用者自身が自己管理する場合も全く同様である。そして,この技術的前提条件の具備の問題は,受信・録画・送信を可能ならしめるための当然の技術的前提に止まるものであり,この技術的前提を基に,受信・録画・送信を実現する行為それ自体とは異なる次元の問題であり,かかる技術的前提を整備し提供したからといって直ちにその者において受信・録画・送信を行ったものということはできない。ところで,親機ロクラクが正しく機能する環境,条件等を整備し,維持するためには,その開発・製造者である控訴人において親機ロクラクを設置・管理することが技術上,経済上,最も確実かつ効率的な方法であることはいうまでもないところ,本件サービスを受ける上で,利用者自身が,その管理・支配する場所において親機ロクラクを自ら設置・管理することに特段の必要性や利点があるものとは認め難いから,親機ロクラクを控訴人において設置・管理することは,本件サービスが円滑に提供されることを欲する契約当事者双方の合理的意思にかなうものということができる。そして,そうであるからといって,前述したとおり,このことが利用者の指示に基づいて行われる個々の録画行為自体の管理・支配を目的とする根拠となり得るものとみることは困難であるし,相当でもない。
 さらに,控訴人において親機ロクラクを管理する場合,控訴人においてその作動環境,条件等(テレビアンテナとの正しい接続等)を整備しない限り,親機ロクラクが正しく作動することはないのであるから,テレビアンテナ等の付属機器類を控訴人が設置・管理することも,本件サービスが円滑に提供されることを欲する契約当事者双方の意思にかなうものであることは前同様であるが,前同様の理由によりこれをもって利用者の指示に基づいて行われる個々の録画行為自体の管理・支配を目的とする根拠となり得るものとみることは困難であるし,相当でもない。
 他方,本件サービスにおけるテレビ番組の録画及び当該録画に係るデータの子機ロクラクへの移動(送受信)は,専ら,利用者が子機ロクラクを操作することによってのみ実行されるのであるから,控訴人が親機ロクラクとその付属機器類を設置・管理すること自体は,当該録画の過程そのものに対し直接の影響を与えるものではない。
 そうすると,控訴人が親機ロクラクとその付属機器類を一体として設置・管理することは,結局,控訴人が,本件サービスにより利用者に提供すべき親機ロクラクの機能を滞りなく発揮させるための技術的前提となる環境,条件等を,主として技術的・経済的理由により,利用者自身に代わって整備するものにすぎず,そのことをもって,控訴人が本件複製を実質的に管理・支配しているものとみることはできない。

 ウ 親機ロクラクと子機ロクラクとの間の通信の管理について

 被控訴人らは,親機ロクラクと子機ロクラクとの間の通信が控訴人の管理・支配の下に行われている旨主張し,その根拠として,①当該通信がhttpにより控訴人のサーバ等を経由して行われること,②当該サーバが録画予約及び番組データの送信のために控訴人が用意した専用サーバであること,③控訴人のサーバ等を経由するたびに,控訴人がID等による認証を行っていること,④当該通信を実行するロクラクⅡ及びそのファームウェアがすべて控訴人の開発・製造に係るものであり,控訴人の規定する方式(子機ロクラクの引渡後に変更が生じた場合の当該変更後の方式を含む。)によって当該通信が実行されること,⑤利用者が控訴人の規定する目的及び方法によるほかは当該通信機能を利用することができないことを挙げる。
 しかしながら,上記①については,http(hyper text transferprotocol)を採用したメールシステムにおいて,サーバを管理する者が専らメール利用者の自発的意思に基づいて行われるメール通信を管理・支配しているとみることは,技術常識に照らして困難であり,被控訴人らの主張は,独自の見解に基づくものであるといわざるを得ない(なお,甲20は,メールシステムのうち,smtp(simple mail transfer protocol)及びpop(post office protocol)又はimap(internet messaging accessprotocol)を採用するものについて言及するにすぎず,httpを採用するメールシステムについての上記判断を左右するものではない。)。
 また,上記③については,被控訴人らの主張の趣旨が必ずしも判然としないが,同主張がメールクライアントによるサーバへのアクセスの際に行われる一般的な認証をいう趣旨であるとすれば,そのような認証は,メールシステムにおいて当然に行われるものであり,そのような認証が行われることをもって,サーバを管理する者がメール通信を管理しているものとみることは,上記①と同様,技術常識に照らして困難であるから被控訴人らの独自の見解であるというべきであるし,被控訴人らの主張がこれと異なる特別の認証をいう趣旨であるとすれば,本件サービスにおいてそのような認証が行われているものと認めるに足りる証拠はない。
 さらに,上記①ないし⑤については,いずれも,利用者が親機ロクラクを自己管理する場合(すなわち,控訴人が本件複製を行っているものとみることができない場合)であっても生じる事態であることからみても,かかる主張をもって控訴人によるメール通信の管理・支配の根拠足り得ないことは明らかであるといわざるを得ない。
 なお,上記(1)エ(オ)のとおり,控訴人は,先行仮処分決定の後,暫定的な措置として,同決定において複製禁止対象とされたテレビ番組を除外した控訴人作成の番組表を子機ロクラクが取得するとの新技術を開発し,本件サービスにおいて運用しているものであるが,このような事態は,本件サービスが本来的に予定するものではなく,控訴人も,先行仮処分決定を受けたことから,やむなく上記のような暫定的措置を採ったものと認められる(甲24の1)から,控訴人がそのような措置を暫定的に採ったことをもって,これを,控訴人が親機ロクラクと子機ロクラクとの間の通信を管理・支配しているとの事情とみるのは相当でない。
 その他,控訴人が親機ロクラクと子機ロクラクとの間の通信を実質的に管理・支配しているものと認めるに足りる証拠はない。

 エ 複製可能な放送及びテレビ番組の範囲について

 被控訴人らは,①本件サービスにおいて録画可能な放送が,控訴人が親機ロクラクを管理する場所(静岡県又は東京都)において受信される地上波アナログ放送に限定されていること,②本件サービスにおいて録画可能なテレビ番組が,控訴人のサーバから控訴人により提供される番組表に記載されたものに限定されていることをもって,控訴人が本件複製を管理・支配している旨主張する。
 しかしながら,本件サービスにおいて録画可能な放送が,親機ロクラクにより受信することができるものに限定されるのは当然のことである(テレビ放送の受信がなければ,その録画はあり得ない。)ところ,テレビチューナーを備えた機器において,当該機器により受信することのできるテレビ放送が当該機器の設置場所により制限されるのは,親機ロクラクに限らず,すべての機器に当てはまることであるから,上記①をもって,本件サービスにおいて録画可能な放送の範囲の限定が控訴人により行われているものとみることはできない。
 また,上記②については,利用者が親機ロクラクを自己管理する場合(すなわち,控訴人が本件複製を行っているものとみることができない場合)であっても同様に生じる事態を指摘するものにすぎない。
 以上からすると,被控訴人らが主張する上記事実をもって,控訴人が本件複製を実質的に管理・支配しているものとみることはできない。

 オ 複製のための環境整備について

 被控訴人らは,①本件サービスにおいては,子機ロクラクを用い,これが示す手順に従わなければ,親機ロクラクにアクセスしてテレビ番組の録画や録画されたデータのダウンロードを行うことができず,また,②控訴人は,親子機能を実現するための特別のファームウェアを開発して,これを親子ロクラクに組み込み,かつ,控訴人のサーバ等を経由することのみによって録画予約等が可能となるように設定しており,さらに,③親子ロクラクは,本件サービス又はこれと同種のサービスのための専用品とみることができる旨主張する。
 しかしながら,これらの事情は,いずれも,利用者が親機ロクラクを自己管理する場合(控訴人が本件複製を行っているものとみることができない場合)であっても同様に生じる事態を指摘するものにすぎないから,これらの事情をもって,控訴人が本件複製を実質的に管理・支配しているものとみることはできない。

 カ 控訴人が得ている経済的利益について

 被控訴人らは,控訴人が,①初期登録料(3000円),②毎月のロクラクⅡのレンタル料(本件Aサービスにつき8500円,本件Bサービスにつき6500円),③毎月の「ロクラクアパート」の賃料(2000円)の名目で,利用者から本件サービスの対価を受領している旨主張する。
 しかしながら,本件サービスは,機器(親子ロクラク又は親機ロクラク)自体の賃貸借及び親機ロクラクの保守・管理等を伴うものであるから当然これに見合う相当額の対価の支払が必要となるところ,上記(1)エ(ウ)によれば,上記①及び②の各金員は,録画の有無や回数及び時間等によって何ら影響を受けない一定額と定められているものと認められるから,当該各金員が,当該機器自体の賃料等の対価の趣旨を超え,本件複製ないしそれにより作成された複製情報の対価の趣旨をも有するものとまで認めることはできず(なお,被控訴人NHKの番組を視聴する場合には,上記の料金とは別に受信契約の締結が必要となる旨控訴人サイトに記載されている。),その他,当該各金員が本件複製ないしそれにより作成された複製情報の対価の趣旨をも有するとまで認めるに足りる証拠はない。
 また,仮に,控訴人が上記③の金員を受領しているとしても,それが,「ロクラクアパート」の賃料の趣旨を超え,本件複製ないしそれにより作成された複製情報の対価の趣旨をも有するとまで認めるに足りる証拠はない。
 以上からすると,控訴人が上記①ないし③の各金員を受領しているとの事実をもって,控訴人が本件複製ないしそれにより作成された複製情報の対価を得ているものということはできない。

 キ 小括

 以上のとおり,被控訴人らが主張する各事情は,いずれも,控訴人が本件複製を行っているものと認めるべき事情ということはできない。
 加えて,上記(1)のとおりの親子ロクラクの機能,その機能を利用するために必要な環境ないし条件,本件サービスの内容等に照らせば,子機ロクラクを操作することにより,親機ロクラクをして,その受信に係るテレビ放送(テレビ番組)を録画させ,当該録画に係るデータの送信を受けてこれを視聴するという利用者の行為(直接利用行為)が,著作権法30条1項(同法102条1項において準用する場合を含む。)に規定する私的使用のための複製として適法なものであることはいうまでもないところである。そして,利用者が親子ロクラクを設置・管理し,これを利用して我が国内のテレビ放送を受信・録画し,これを海外に送信してその放送を個人として視聴する行為が適法な私的利用行為であることは異論の余地のないところであり,かかる適法行為を基本的な視点としながら,被控訴人らの前記主張を検討してきた結果,前記認定判断のとおり,本件サービスにおける録画行為の実施主体は,利用者自身が親機ロクラクを自己管理する場合と何ら異ならず,控訴人が提供する本件サービスは,利用者の自由な意思に基づいて行われる適法な複製行為の実施を容易ならしめるための環境,条件等を提供しているにすぎないものというべきである。
 かつて,デジタル技術は今日のように発達しておらず,インターネットが普及していない環境下においては,テレビ放送をビデオ等の媒体に録画した後,これを海外にいる利用者が入手して初めて我が国で放送されたテレビ番組の視聴が可能になったものであるが,当然のことながら上記方法に由来する時間的遅延や媒体の授受に伴う相当額の経済的出費が避けられないものであった。しかしながら,我が国と海外との交流が飛躍的に拡大し,国内で放送されたテレビ番組の視聴に対する需要が急増する中,デジタル技術の飛躍的進展とインターネット環境の急速な整備により従来技術の上記のような制約を克服して,海外にいながら我が国で放送されるテレビ番組の視聴が時間的にも経済的にも著しく容易になったものである。そして,技術の飛躍的進展に伴い,新たな商品開発やサービスが創生され,より利便性の高い製品が需用者の間に普及し,家電製品としての地位を確立していく過程を辿ることは技術革新の歴史を振り返れば明らかなところである。本件サービスにおいても,利用者における適法な私的利用のための環境条件等の提供を図るものであるから,かかるサービスを利用する者が増大・累積したからといって本来適法な行為が違法に転化する余地はなく,もとよりこれにより被控訴人らの正当な利益が侵害されるものでもない。
 したがって,本件サービスにおいて,著作権法上の規律の観点から,利用者による本件複製をもって,これを控訴人による複製と同視することはできず,その他,控訴人が本件複製を行っているものと認めるに足りる事実の立証はない。
 なお,クラブキャッツアイ事件最高裁判決は,スナック及びカフェを経営する者らが,当該スナック等において,カラオケ装置と音楽著作物たる楽曲が録音されたカラオケテープとを備え置き,ホステス等の従業員において,カラオケ装置を操作し,客に対して曲目の索引リストとマイクを渡して歌唱を勧め,客の選択した曲目のカラオケテープの再生による演奏を伴奏として他の客の面前で歌唱させ,また,しばしば,ホステス等にも,客とともに又は単独で歌唱させ,もって,店の雰囲気作りをし,客の来集を図って利益を上げることを意図していたとの事実関係を前提に,演奏(歌唱)の形態による音楽著作物の利用主体を当該スナック等を経営する者らと認めたものであり,本件サービスについてこれまで認定説示してきたところに照らすならば,上記判例は本件と事案を異にすることは明らかである。

 2 被控訴人らの請求についての結論

 争点1についての判断は上記1のとおりであるから,その余の各争点について判断するまでもなく,被控訴人らの請求は,全部理由がない。

 第4 結論
 よって,原判決中,脱退前被控訴人10名の請求の一部を認容した部分は,当裁判所の上記判断と異なり不当であるから,同部分を取り消した上,被控訴人らの請求及び附帯控訴をいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第4部

   裁判長裁判官 田中信義
   裁判官 榎戸道也
   裁判官 浅井憲

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判決全文は

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090224172114.pdf

参照。

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