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2011年1月11日 (火)

個人情報保護法への過剰反応は高齢者所在不明問題の原因か

昨秋、「個人情報保護法制への過剰反応は高齢者所在不明問題の原因かどうか」について、原稿を執筆せよと頼まれた。

「全国社会福祉協議会(全社協)」が発行する「月間福祉」という月刊誌である。

思い起こせば、高齢者所在不明問題は昨年夏に発覚した。

原稿を送ってから数ヶ月が経過して、執筆した本人が忘れていたころ、掲載誌が送られてきた。

同誌2011年2月号である。
http://www.fukushinohon.gr.jp/esp.cgi?_page=_index&_page2=contents&_page3=detailmagazine_g

こういう原稿依頼が来ること自体、個人情報保護法制に対する社会福祉関係者の閉塞感は、関係者間で要援護者情報の交換が阻害されているなど、察するに余りある状態であることを示している。

詳しくは上記論考をご覧いただきたいが、紋切り型の言い方をすれば、家族制度や地域社会の崩壊によって、住民基本台帳の申請主義が機能不全を起こしている。

高齢者が孤立化を起こしている中で、死亡しても親族が届け出なければ、200歳前後の生存者が大量出現することは必然的だった。

つまり、社会構造の変化こそが、根本的な問題なのだ。

このように考えると、保護法制が原因自体であるとまでいえない。

しかし、それに保護法制が拍車を掛けているという悪循環の面があることも否定できない。

いずれにせよ、死亡を隠していた親族による年金不正受給と結合して、一時は逮捕者まで出るという、たいへんな騒ぎになった。

この問題に対する対応策として、厚労省は「高齢者所在不明・孤立化防止対策チーム」を組織して市区町村に安否確認させ、その結果をフィードバックしようとしてきた。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000kgp7.html

その際にも保護法制が安否確認の妨げになったことは事実のようだ。自治体が保有する住民情報を、どの程度、利用できるのかすら、おぼつかない状況なのだから。

前述のとおり、今回の問題では、社会のあり方自体が問われていることは事実である。

それと同時に、保護法のあり方についても、どの辺りに落ち着きどころを見つけるか。その改正に向けた検討作業が今後の課題となるが、それを論じるのは別の機会にしたい。

ゆく川の流れは速く、高齢者所在不明問題は、すでにマスメディアの脳裏から、残念ながら半ば忘れ去られようとしている。

それにしても、前記チームは第2回会合が行われた後、どうなったのか続報が入らない。厚労省老健局の報道発表資料サイトを見る限り、開かれていないようだ。

忘却は、マスメディアだけでなく、政治の世界にも、残念ながら当てはまるようだ。

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