あまり知られていない2010年著作権法一部改正
昨日の日記で解説した「放送法等の一部を改正する法律」(平成22年法律第65号)によって、著作権法も一部改正された。
放送法等の一部を改正する法律30条として、次のとおり記載されているのが、これにあたる。
(著作権法の一部改正)
第三十条 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
第三十四条第一項中「第二条の二第二項第二号」を「第九十一条第二項第二号」に、「第十四条第三項第三号」を「第十四条第三項第二号」に改める。
第九十九条の二に次の一項を加える。
2 前項の規定は、放送を受信して自動公衆送信を行う者が法令の規定により行わなければならない自動公衆送信に係る送信可能化については、適用しない。
第百二条第五項ただし書及び第百三条中「第九十九条の二」を「第九十九条の二第一項」に改める。
これによって、著作権法は次のとおりとなった。以下、改正された条項を改正後の体裁で示す。
(学校教育番組の放送等)
著作権法第三十四条 公表された著作物は、学校教育の目的上必要と認められる限度において、学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠した学校向けの放送番組又は有線放送番組において放送し、若しくは有線放送し、又は当該放送を受信して同時に専ら当該放送に係る放送対象地域(放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第九十一条第二項第二号に規定する放送対象地域をいい、これが定められていない放送にあつては、電波法(昭和二十五年法律第百三十一号)第十四条第三項第二号に規定する放送区域をいう。以下同じ。)において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行い、及び当該放送番組用又は有線放送番組用の教材に掲載することができる。
2 (略)
(送信可能化権)
著作権法第九十九条の二 放送事業者は、その放送又はこれを受信して行う有線放送を受信して、その放送を送信可能化する権利を専有する。
2 前項の規定は、放送を受信して自動公衆送信を行う者が法令の規定により行わなければならない自動公衆送信に係る送信可能化については、適用しない。
(著作隣接権の制限)
著作権法第百二条 (略)
2~4 (略)
5 著作隣接権の目的となつている実演であつて放送されるものは、専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として送信可能化(公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものに限る。)を行うことができる。ただし、当該放送に係る第九十九条の二第一項に規定する権利を有する者の権利を害することとなる場合は、この限りでない。
6~9 (略)
(著作隣接権の譲渡、行使等)
著作権法第百三条 第六十一条第一項の規定は著作隣接権の譲渡について、第六十二条第一項の規定は著作隣接権の消滅について、第六十三条の規定は実演、レコード、放送又は有線放送の利用の許諾について、第六十五条の規定は著作隣接権が共有に係る場合について、第六十六条の規定は著作隣接権を目的として質権が設定されている場合について、第六十七条、第六十七条の二(第一項ただし書を除く。)、第七十条(第三項及び第四項を除く。)、第七十一条から第七十三条まで並びに第七十四条第三項及び第四項の規定は著作隣接権者と連絡することができない場合における実演、レコード、放送又は有線放送の利用について、それぞれ準用する。この場合において、第六十三条第五項中「第二十三条第一項」とあるのは「第九十二条の二第一項、第九十六条の二、第九十九条の二第一項又は第百条の四」と、第七十条第五項中「前項」とあるのは「第百三条において準用する第六十七条第一項」と読み替えるものとする。
以上は、放送法等の改正に伴うものであって、主として放送関係の規定に手が加えられたものである。
したがって、実質的な内容変更ではない。あくまでも形式的なものにすぎないから、安心されたい。しかし、条文を参照、引用するような場合には、間違っていると恥ずかしいから、知っておく必要があるはずだ。
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