通信・放送融合法制(放送法等の一部改正-平成22年)
1.はじめに
第176回国会(臨時会)で「放送法等の一部を改正する法律」(平成22年法律第65号)が平成22年11月26日に成立した。
これによって、通信・放送法体系の見直しが、60年振りに行われた。
総務省によれば、主として「通信・放送分野におけるデジタル化の進展に対応した制度の整理・合理化を図るための改正」である。これまで通称「通信・放送融合法制」と呼ばれてきたものである。
全体については、次の図を参照(出典は総務省の公表資料)。
2.放送関係
今回の法整備によって、各種の放送形態に対する制度が統合された。
具体的には、放送関連の電気通信役務利用放送法、有線テレビジョン放送法、及び有線ラジオ放送法は廃止された。それによって放送法に一本化される一方、新たに放送が「基幹放送」と「一般放送」に区分された。同時に、通信関連の有線放送電話法も廃止されている。
基幹放送とは、放送用に専ら又は優先的に割り当てられた周波数を使用する放送をいう。一般放送とは、基幹放送以外の放送をいう。
基幹放送については、無線局の設置・運用(ハード)と放送の業務(ソフト)を分離するかどうか、弾力的に決定できることになった。分離を希望する者のために、無線局の「免許」と放送業務の「認定」に手続を分離する制度を設ける一方、分離ではなく一致を希望する地上放送事業者のために、「免許」のみで足りる現行制度も併存させた。
一般放送に該当する有線テレビジョン放送、有線ラジオ放送及び電気通信役務利用放送については、参入制度を見直し、これまで「許可」「登録」等であったものが、「登録」を原則とする制度に統合された。但し、一般放送のうち有線ラジオ放送等は「届出」によって参入が可能である。
放送法関係では、他にも、マスメディア集中排除原則の基本の法定化、放送における安全・信頼性の確保、放送番組の種別の公表、有料放送における提供条件の説明等、再放送同意に係る紛争処理に関するあっせん・仲裁制度の整備が行われている。
3.電波法関係
電波法関係も見直しが進められた。
まず、通信・放送両用無線局の制度の整備が行われた。これは、無線局の主たる目的に支障のない範囲で、1つの無線局を通信にも放送にも利用しうるよう、無線局の免許制度を改正するものである。同時に、免許を受けた後に、許可を受けて無線局の目的を変更することも可能となった。
他にも、免許不要局の拡大、携帯電話基地局の免許の包括化等が図られている。
4.電気通信事業法関係
紛争処理機能の拡充、二種指定事業者に係る接続会計制度の創設等が図られた。
参 考
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