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2011年2月27日 (日)

京大入試問題ネット流出事件

報道によれば、今月25、26日に実施された京大入試(2次試験)に出題された試験問題の一部が、なんと入試時間中であるにもかかわらず、ネット上の掲示板に「答え教えて」などとして投稿され、それに対し、同時間中に第三者が解答を書き込んでいたという事件が発覚した。
http://www.asahi.com/national/update/0226/OSK201102260120.html

自分の母校であるだけに、たいへん残念である。同志社大学、立教大学の入試でも、同様の事件が発生しているようだ。

問題の掲示板には、携帯電話から書き込まれたマークが残っていたという。

受験開始に先立ち、携帯電話を持って入ろうとしていないか、受験生の一人ひとりを、入室時に身体検査することは困難である。せいぜい、試験開始前に、試験中は携帯電話の電源を切り、カバンの中にしまうよう、注意するのが関の山だろう。

試験時間中であっても、腹痛を装ってトイレに行きたいと言われれば、試験監督としても止めようがない。季節が冬だから、着膨れのため、その受験生が携帯電話を隠し持っていても、外見から判別することは困難である。

だが、今回のような行為は、何ら落ち度のない他の受験生の人生を左右しかねない重大な問題であって、大学の適正な入試業務を妨害するものだから、事情によっては、刑法の偽計業務妨害罪に該当する可能性があることは否定できない。

問題文が著作物に該当する場合には、ネット投稿が公衆送信権侵害に該当し、著作権法違反の罪が成立するおそれもあろう。

いずれにしても、今後、誰が行ったか発覚した段階で単に不正行為として不合格扱いとされるだけでなく、その前に刑事事件へと発展する可能性がある。

今回の犯人は愉快犯のつもりかもしれないが、それに対して支払うべき代償は、本人にとって取り返しが付かないものとなるおそれがある。

軽はずみな模倣犯が出現することがないよう、願いたいものである。

追記

京大サイトには、次の文章が掲載されていた。京大の関係者におかれましては、たいへんご苦労さまです。

   記

「本学受験生の皆様へ
 本学個別学力試験(2月25日(金曜日)~27日(日曜日))のうち、25日に行われた数学及び26日に行われた英語の試験問題と同一内容の文章がネット掲示板に掲載されるという事態が発生しました。
 本学では、事実関係等の調査を開始したところであり、仮に、不正行為等が発覚した場合には厳正に対処することといたします。
 なお、受験生の皆様には混乱することのないよう、お願いいたします。

 平成23年2月26日
 京都大学理事 淡路 敏之」

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2010/110226_1.htm

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