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2011年2月 3日 (木)

アクセスコントロール規制と不正競争防止法改正案の行方

アクセスコントロール規制と不正競争防止法改正案の行方

過去二回に分けて、現行の著作権法と不正競争防止法の「技術的手段」回避に関する規制内容について触れてきた。

これを一覧表にして示すと、次の表のとおりとなる。

B

(出典・経済産業省・産業構造審議会知的財産政策部会「技術的制限手段に係る規制の在り方に関する小委員会」の報告書「技術的制限手段に係る不正競争防止法の見直しの方向性について(案)」)

両法を比較した特徴の概要を示すと、次のとおりである。

1.どちらもコピーコントロールを対象としているが、不正競争防止法のみがアクセスコントロールも対象としている。

2.どちらも回避機器等の提供等を禁じている点で共通するが、著作権法のみが、その製造、回避サービスの提供、そして回避を伴う複製行為を対象としている点で広い。これに対し、両法ともに回避行為それ自体は対象としていない。

3.刑事罰は著作権法のみが設けている。

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こうした中で、平成23年1月25日に開催された文化庁の文化審議会著作権分科会(第33回)によって、同分科会法制問題小委員会「技術的保護手段に関する中間まとめ(平成22年12月)」に関する意見募集の結果について審議され、著作権法を改正して、新たにアクセスコントロール技術回避行為に対し規制を加えようとする方向が示されたことは前述した。

http://hougakunikki.air-nifty.com/hougakunikki/2011/02/post-f83b.html

これに対し、平成22年12月の経済産業省・産業構造審議会知的財産政策部会「技術的制限手段に係る規制の在り方に関する小委員会」の報告書「技術的制限手段に係る不正競争防止法の見直しの方向性について(案)」によって、技術的制限手段に関する同法改正の方向も打ち出されている。

この報告書案の骨子は、次の内容である。

(1)規制対象装置等の見直し(「のみ」要件の見直し)
不正競争防止法の規制対象装置等については、機器メーカーの事業活動を過度に抑制することを避けるため、営業上用いられている技術的制限手段を回避する機能「のみ」を有する装置等が規制対象となっている(「のみ」要件)。平成11年当時からの状況の変化等を踏まえ、「のみ」要件を見直すことについて検討を行う。

→ 装置等の客観要件について、この「のみ」に代えて「専ら」を要件とする方向で検討を進める。引き続き主観的要件については導入しないことが適当。

(2)ユーザーの回避行為の規制
ユーザー(特に個人)の回避行為については、回避装置等の提供行為に比較し、個々の回避行為自体は、互いに独立に行われ、個々の被害も限定的であり、かつ、個々の行為を民事訴訟の対象とすることが困難であることから、不正競争防止法上、「不正競争」としていない。平成11年当時からの状況の変化等を踏まえ、ユーザー(特に個人)の回避行為を新たに規制の対象とすることについて検討を行う。

→ 個々の技術的制限手段の回避行為そのものを不正競争防止法における規制の対象とするかどうかについては、引き続き消極に解することが適当。

(3)技術的制限手段回避装置等の製造行為と回避サービスの提供行為の規制
回避装置等の製造行為については、技術開発への萎縮効果に配慮する必要があること等の理由から、また、回避サービスの提供行為については、平成11年当時、当該規制の検討は必要最小限のものとすることとしており、実態が出現した時点で検討すべしと整理したことから、不正競争防止法上、「不正競争」としていない。平成11年当時から状況の変化等を踏まえ、回避装置等の製造と、回避サービスの提供行為を新たに規制の対象とすることについて検討を行う。

→ 技術的制限手段の回避サービスにつき不正競争防止法において独立して規制の対象とするかどうかについては、消極に解することが適当。これに対し、技術的制限手段回避装置等の製造行為については、既存の法令によって一定程度の対応が可能であり、今後とも回避装置等の国内での製造実態とこれに伴う影響等を注視しながら対応を検討することが適当。

(4)技術的制限手段回避装置等の提供行為の刑事罰の導入
技術的制限手段回避装置等の提供行為(装置の譲渡、引き渡し、譲渡等のための展示、輸出、輸入、プログラムの電気通信回線を通じた提供)については、不正競争防止法上、「不正競争」行為の一つとし、営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれのある者は、民事請求(差止請求、損害賠償請求等)を行えることとしている。平成11年当時からの状況の変化等を踏まえ、新たに刑事罰の対象とすることについて検討を行う。

→ 一定の悪質な行為に限定して刑事罰の対象とする方向で検討することが適切。

(5)技術的制限手段回避装置等に対する水際措置の導入
技術的制限手段回避装置等は、水際措置の対象とされていないが、平成11年当時からの状況の変化等を踏まえ、回避装置等を新たに水際措置の対象とすることについて検討を行う。

→ 技術的制限手段回避装置等についても水際措置を導入することが極めて有効。

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以上の詳細については、下記の報告書案を直接参照されたい。

参考-経済産業省・産業構造審議会知的財産政策部会「技術的制限手段に係る規制の在り方に関する小委員会」の報告書「技術的制限手段に係る不正競争防止法の見直しの方向性について(案)」
http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/chitekizaisan/gijutsutekiseigen/004_03_00.pdf

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