最近の電子出版関係のニュース
このところ、電子出版関係のニュースが急に増えてきた。
米アマゾンの電子書籍販売数が、紙の本を5%上回ったという。朝日新聞デジタルは、創刊3日目で1万件を突破したと発表している。ただし、いまは無料お試し期間だから、その後が正念場となるだろう。
その一方で、大阪ステーションシティに開業した「ブック&カフェ」では、三省堂書店とスタバが連携。コーヒーを飲みながら、購入前の書籍を3冊まで持ち込むことができ、専用の返却台も用意しているとのこと。本日の昼、京都へ行くために、この辺りを通ったのだが、知らなかった。
それはともかく、こうした仕掛けでもしなければ、最近では紙の本を、簡単には買ってもらえないという厳しい現実がある。これはもちろん電子出版の増加が主たる原因ではない。消費者が携帯電話などに時間を取られ、紙の書籍を読む時間や必要性が減少しているのだ。電車内で週刊誌を読むよりも、携帯を眺めている人の方が、すでに普通の風景になってしまっている。
電子出版業界内でも試行錯誤が続いている。2011年5月より、オライリー・ジャパンで販売するEbookをDRM Free化するという。この出版社は、もともとオープンソース系に近いから、著者を説得しやすいのかもしれない。売上は伸びるだろうが、一般の出版社なら、著者が尻込みしてしまうかもしれない。このパズル解読は難問だ。
こうしたなか、総務省が「電子出版環境整備事業に関する成果報告」を公表した。
電子書籍交換フォーマット標準化プロジェクト、EPUB日本語拡張仕様策定、次世代書誌情報の共通化に向けた環境整備等10件の事業成果が含まれる。
すべて現在の課題解決にとって重要な意味を持っている。
特に、交換フォーマット標準化が重要だ。電子書籍だけでなく、クラウドのデータ移行にしても同様の課題がある。それは、特定のプラットホームだけが過度に支配的にならないために、不可欠であることを忘れてはならない。
実際にプラットホームを握っているのは米国企業であり、米国企業同士の競争にすぎない。それを突破できるかどうか、我が国にとって大きな鍵となるはずだ。
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