著作権の制限規定は限定列挙か
少し話題は古いのですが、平成25年3月に、文化審議会著作権分科会から
「パロディワーキングチーム 報告書」
が公表されています。
http://www.bunka.go.jp/chosakuken/singikai/housei/parody.html
ここで興味深いのは、報告書の中に、制限規定の拡張解釈、類推解釈をすべきであるという話が、さも当然のように出てきているところです。
かつては制限規定は厳格な限定列挙であり、しかも厳格解釈を要するという立場が多数説でした。法的安定性が理由です。
当方は、こうした考えは採用していません。
まず、厳格解釈は不要という考え方です。作花先生、中山先生など、新しい多数説というところでしょうか。
支分権を定めた規定も、制限規定も保護要件を定めたものに他ならず、両者で厳格な書き分けがされているわけではないからです。
支分権を定めた規定も、制限規定も保護要件を定めたものに他ならず、両者で厳格な書き分けがされているわけではないからです。
その一方、限定列挙説が現在も多数説のはずです。
しかし、中古ソフト上告審判決は、実質的に例示列挙説に立っているといっていいと思います。
社会の変化の中で、事前に厳格に全事例を想定することなど、できるはずがありません。却って文化の発展の妨げになりかねません。
しかし、中古ソフト上告審判決は、実質的に例示列挙説に立っているといっていいと思います。
社会の変化の中で、事前に厳格に全事例を想定することなど、できるはずがありません。却って文化の発展の妨げになりかねません。
いずれにしても、時代は変わったものです。
ちなみに、限定列挙説と例示列挙説については、拙著「著作権法〔新訂版〕」205ページ(4.4.1.2.1)、制限規定の厳格解釈の是非については206ページ(4.4.1.2.2)を参照して下さい。
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