大阪地判平成25年6月20日平23(ワ)15245(ロケットニュース24事件)2
前回に引き続いて、ロケットニュース24事件判決を解説する。
著作者人格権たる公表権侵害について
原告は,本件動画の公開が,著作者人格権である公表権(法18条)の侵害に当たると主張した。
本判決は、次のとおり、本件動画が公表著作物であることを理由に、これを認めなかった。
原告は,被告による本件動画へのリンクに先立ち,本件生放送をライブストリーミング配信しており,しかも原告の配信動画の視聴者数については,「常時400人以上であり,特に企画番組は人気で,この日は数千人の視聴者を超え」(訴状)ていたとされる。そうすると,著作者である原告自身が,本件生放送を公衆送信(法2条1項7号の2)の方法で公衆に提示し,公表(法4条1項)したのであるから,本件生放送の一部にあたる本件動画について,公表権侵害は成立しない。
著作者人格権たる氏名表示権について
原告は,本件動画の「公衆への提供若しくは提示」に際し,原告の変名である「P2」を無断で使用し,原告の氏名表示権を侵害した不法行為が成立する旨主張した。
本判決は、この点についても、次のとおり、これを認めなかった。
本件記事自体に原告の実名,変名の表示はなく,本件ウェブサイトに表示された本件動画のタイトル部分に被告の変名が含まれていたに過ぎない(甲1)が,前記2記載のとおり,被告は,本件動画へのリンクを貼ったにとどまり,自動公衆送信などの方法で「公衆への提供若しくは提示」(法19条)をしたとはいえないのであるから,氏名表示権侵害の前提を欠いている。
また,原告自身,本件生放送において,原告自身の容貌を中心に撮影した動画を配信し,原告の実名をも述べていることに加え,「ニコニコ生放送」で本件生放送やその他の動画を配信する際にも「P2」の変名を表示していたことがうかがわれる(甲1,3,4,乙1,弁論の全趣旨)のであるから,上記「公衆への提供若しくは提示」を欠くことを措いて考えたとしても,本件ウェブサイト上の上記表示が原告の氏名表示権の侵害になるとは認められない。
著作者人格権侵害に関するまとめ
本判決は、被告は公衆送信の主体でないこと等を理由に、被告には公表権や氏名表示権の侵害成立は認められないとする。
参 考
→ 大阪地判平成25年6月20日平23(ワ)15245(ロケットニュース24事件)3(完)
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