著作者の権利の放棄
泉谷しげる氏が、自作2曲の著作権放棄を希望しているという。
「嫌いな歌をイヤイヤ歌ってもな~」ということだ。
これを素材に、考えてみてほしい。
著作権を放棄するとどうなるか。著作者人格権はどうか。
オープンソース開発者も考えてほしい。
著作権も財産権なので、明文規定はないが放棄が可能である。一方的な宣言で足りる。
それによってパブリックドメインとなる。
だから、改良版が二次的著作物となって、その著作者に独占権が生じ、コミュニティに還元されないとしてストールマンは諫め、放棄ではなくGPLを適用するよう奨める。
これに対し、著作者人格権を包括的に放棄することは許容されないと考えられている。つまり、泉谷さんは、著作者人格権を放棄したくても、できないのである。
だから実務的には、著作権の譲渡契約に、それに代えて、人格権の包括的不行使特約を付ける傾向がある。
但し、個別事案については、著作者は同意することができる。例えば、同一性保持権について、特定の改変について個別同意するといった具合である。
司法試験直前の知財選択者で、拙著『著作権法〔新訂版〕』を持っている人は、他の論点も含め、
専用問題集 統合版 Ver.0.9
で、知識を最終チェックしておいてほしい。
PDF版のダウンロードは、岡村久道「著作権法」サポートサイトからどうぞ。
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