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2011年11月28日 (月)

大阪ダブル戦とマスメディアの明日

2011年11月28日の大阪府知事、大阪市長のダブル戦で橋下陣営が勝ったことが、巷間では大きな話題になっている。しかし、今回、著者が注目したのは開票速報に関するマスメディアの報道姿勢である。

この選挙は、20時に投票終了。21時から即日開票の予定だった。選挙期間中は、接戦であるとして、勝敗の行方は深夜に判明すると報道する全国紙も少なくなかった。

そうした予想が示されていたので、筆者は、どちらの陣営を応援するわけでもないが、ゆっくり水割りでも飲みながら、開票速報をテレビ観戦する予定だった。

ところが、大手全国紙は、投票終了直後の20時過ぎから、各紙のサイト上で、橋下陣営の当確を報道しはじめた。しかも例外なしに。通信社も同様だった。

もちろん、こうしたケースでは予定稿を作っておき、出口調査の結果に合わせて、われ勝ちに報道することが少なくない。今回の選挙でも、こうした方法が取られていたことは想像に難くない。

これに対して、関西系のTVキー局は、早い時間帯には特番を組んでいなかった。テレビ大阪に至っては、23時30分から開票速報の特番を組んでいたから、投票終了後10分ほどで当確が出て、今さら何の話で深夜の時間帯を埋めるつもりかと、心配したほどである。

翌朝になって新聞報道で、日本テレビ系列の6局が、投票締め切り時間前に、当確のテロップを放送したことも知った。

実は、2005年9月の衆議院選挙では朝日新聞とテレビ朝日が落選候補に「当選」の誤報を出した。これは都選管が誤った開票速報を流したためだった。

2009年7月の東京都議選ではNHKが誤って「当選確実」と報道した。さらに同年8月の衆議院選挙ではTBSが誤って前首相の「敗北」を報道した。

かつて新聞と比べて「テレビの速報性」が強調された時代があった。新聞がインターネットサイトという速報性を有する新たな武器を入手した現在、かつてテレビの専売特許だった当確速報合戦が加熱することに、誤報への危うさを感じるのは筆者だけであろうか。

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2011年3月21日 (月)

津波漂着物の処分に関する法律問題

今回の大震災、そして津波で流されてきた漂着物の処分が、復興との関係で問題になっているようだ。

讀賣新聞が、興味深い記事を掲載している。

「撤去できぬ漂着物、復興の壁…法の弾力運用必要」
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110321-OYT1T00102.htm?from=main5

民法上からすれば、漂着物であっても、誰かの所有物であると認められる限り、勝手に他人が処分することはできない。ただ自己の敷地内に漂着した物について、その所有者に対し、妨害排除請求として撤去を求めることができるだけである。それにしても、自力救済は認められていない。これが、平常時における考え方である。

かといって、今回の事態が、平常時に自己の敷地内に他人が不法駐車したような場合とは異なることは当然である。第1に、漂着物の所有者が判明しないことが一般であろう。したがって、誰に対し撤去を求めてよいか分からない。第2に、付けられている名札等で漂着物の所有者が判明したところで、所有者が健在だとは限らない。報道に接した限り、生死不明、所在不明の場合も多いはずである。第3に、所在が判明しても、わざわざ処分するための同意を個別に得に行くことは現実的でない。第4に、数え切れない漂着物を、それぞれ所有者が判明する物かどうかなど、いちいち仕分けする手間を掛けることは、事態が事態だけに非現実的である。

翻って考えると、このような問題が生じたのは津波が原因である。阪神大震災や新潟県中越地震の場合、津波がなかったので、大破した建物、家財道具、自動車は、被災者の敷地上にあることが通常であった。そうすると、今回は津波特有の現象であると言ってよい。特定の敷地上にある物でも、それが元からあった物か、それとも流されてきた物かすら、撤去しようとする行政等にとって、分からない場合が普通なのだろう。それだけに、これまで十分に検討されてこなかった問題ということができよう。

もっとも、漂着物を処分したとしても、ほとんどは損壊や水に浸かっていることによって財産的には無価値物となっているはずである。そうだとすると、ほとんどの場合、無断で処分しても、それによって損害賠償の対象となるべき新たな損害が発生したとは言えないことになろう。つまり、無断で処分したからといって、賠償に応じなければならないような事態は原則として想定困難である。むしろ、撤去に要する費用は本来ならば所有者負担であるが、それを負担せずにすむことで、所有者たる被災者にとってプラスになりうる。むろん、こんなことがプラスになるといっても、慰めにもならないだろうが、今のような状況で、被災者である所有者に対して、自力撤去するようにというのも、酷に過ぎる。

しかし、自動車の場合、登録制度によって所有者が確定しうる一方で、被災した自動車の状況と、処分したという事実の裏付けが残っていた方が、諸手続がスムーズとなる。復興という観点から、措置法を作ることも考えられるが、処分時に車両のナンバーが写った写真を残しておき、あとは諸手続の弾力的運用に委ねることも考えられよう。残念ながら震災や津波は自動車保険の対象とならない。

これに対し、建物に対する地震保険については、敷地内に建物が残っていないか、もしくは、全損状態で残っていることが後日明らかなので問題は少ない。日本損害保険協会は地震保険金の早期支払いに向け、契約者の自己申告に基づく損害調査を導入するとしている。

もっと大きな問題は、ご遺体をご遺族の元にお返しするという問題があるほか、家族写真や、ご先祖の位牌のように、金銭的価値には代え難い物だろう。

いずれにしても、考えれば考えるほど、やりきれない問題である。

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2011年3月11日 (金)

謹んでお見舞い申し上げます

地震に遭われた皆さまに、謹んでお見舞い申し上げます。
こちらは直前に東京から大阪に向けて新幹線に乗り、移動中に地震によって一時停止しました。
静岡の掛川付近。安倍川が見える場所でした。
先ほど動き出しました。
東京-静岡間は停電のため全面的に不通。乗っている列車を含め、静岡から以西の大阪方面行きだけ動いている模様です。

今乗っている列車の後続は、すべて止まっているようです。
携帯のワンセグでテレビを見て、情報を得ています。
携帯通話は、ようやく通じるようになりました。
それまでも携帯メールは流れており、無事の確認ができる点では、有り難いものです。
まだ強い余震があるとの車内アナウンス。
皆さま、くれぐれも気をつけてください。

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